画家の死後:内藤瑶子の生前日記

自称絵描き|内藤瑶子のナイトー自身による、活動報告のブログです。/ 東京近辺で活動中。詳しいことはhttp://yokonaito.info/へ。

展示終了 / 展示見聞録、ゲージツの起源とは

グループ企画「装幀画展Ⅳ」無事終了いたしました。また、今年の展示スケジュールもこれにておしまいです。来ていただいたお客様、関係者のみなさま、いろいろとお付き合いいただいた方々にお礼と感謝を申し上げます。

また来年もいろいろな企画に挑戦したいと思います!

 

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上野駅前で、なんだか時間ができたので国立科学博物館でやっている『ラスコー展』に入ってみた。久しぶりの大型展、チケット代は1600円なり。なかなか高額で一瞬ひるんだが、時間も限られていたのでしぶしぶ金を払い入場。*1

 
これだけ金を払えば、なんとか頑張って観なきゃと思う貧乏性が顔を出す。しかし想像以上に広い科学博物館。資料の展示が多くて、文字も多いからなかなか見きれない!さらに図録も買うことに。。
 
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こんな壁画らしい。もちろん飾られてるのはレプリカっす。
 
クロマニヨン人はオーカーの顔料を使っていたらしい。二万年前!歴史があるんだなぁ!死んだ恩師がいつもイエローオーカーばかり使っていたナァ。
 
とはいえ非合理的、非機能的、かつ過剰な展開に「美」を見出してしまうのは近代的視点のなせる技。この壁画に芸術の起源を見出す理屈や、わかりやすい進化論的な解釈にやや毒され過ぎているのかもしれないけど、
それでも、この壁画を発見した人々は人類の創造的な能力、協同して生活していく習性が文明文化を実現させた魔法だったんだ〜と、惚れ惚れしてしまっただろうな。
 
しかし、マンモスとか狩って生活するのもしんどそうだし、絵を描くのも苦労した様子。どうしてこんな大そうなものを制作してしまったんだろう?
意外と暇だったのか?
暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)
 

 

この本にも同じようなことが書いてあったような。(冗談じゃなくです!)確認したいけど、本が見つからない!新版が出ているんですね。読みやすく、内容も面白い本だったと思う。

 
 
 
 
 
 
 
 

*1:ちなみに、金曜日の夜はペアで1000円で入れるらしい。男女は問わないそう。

グループ企画「装幀画展Ⅳ」/ 荘子の神秘主義

今日から~11日(日)まで、麻布十番のパレットギャラリー(http://palette-gallery.jp/)にて、グループ展「装幀画展Ⅳ」に一点出展しております。
自分の好きな小説を勝手に選び、妄想で装幀する。本当に楽しい企画です。
 
詳しくは前のエントリに書きました↓
私が選んだ「ヴァリス」という小説は、小説の作者ディックによる実際の神秘体験がモチーフになっているそう。
作者によれば、ピンクのレーザー光線が頭に照射され、抽象画を沢山見たとか見てないとか、その体験の影響下でこの作品も生まれたらしい。
ということで、私が作った版画作品もピンキーな感じを損なわないように留意。だいたいA4サイズくらいのもので、二枚セットです。
 
装幀の文字組などは、装幀を含むデザインの会社「株式会社コイル」を経営、またディック信者でもある世古口敦志さんが協力してくださいました。
恐縮ながらプロってやっぱりすごいです!
 
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教科書的な宗教の分野では、神秘体験者はその最中、自我が無化する、あるいは主体を失いやすいとされている。小説の中でも著者と主人公、登場人物や「あいつ」といった人称が混沌と入れ替わり立ち代り、イワユル「近代的自我」は超不安定な状態で描かれている。*1

 
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時間空間を無視して主客が混沌とできる人、と言えば荘子
小説の世界と荘子の思想(万物斉同とか)は、どことなくムードが似ている気がして、いろいろ荘子関連のものを引っ張り出して読み返してしまった。
 
老荘思想といっても老子ばかり人気があるのは、荘子があまりにも論(理屈)としてブッとびすぎているからだと思うのだが、なんだかずっと嫌いになれない思想家だった。
 
荘子の自我の混濁や神秘状態は、なんだか漢文という言語の印象もあって、展開が唐突に感じることが多いんですよね。この小説は英語だからなのか、主語が入れ替わるというのが主な感じでした。

ザックリを承知で言えば、「この世の中は全部クソ」と「この世の中、全部OK!」は相対的な認識を排除、超えていってしまうという点では共通項があるような気もしてくる。*2
 
全て同じ考えを持った人間のみの世界だったら、もう特に何かを表現する必要はないのと一緒なのかもしれない。
白いゴムボールしか存在しない世界だったら、もう良し悪しもクソもない。白以外の色はないし、究極ゴム以外のものは語れない。*3
 
均質なものを前にすれば、それを解析する言葉は失われていってしまう。ただあるものを述べるしかない。その語りが真実の記述なのか、空虚で狂った妄言なのかは紙一重ということなんでしょうな。
 
 
 
 
 
 
 

*1:大変なワードを使ってしまった。。「ヴァリス」の文学的、思想的意義などに踏み込んでいるこの本

 ほんと面白かったです。批評ってすごい!ここまで考えられるのか。と、素朴に感動しました。

*2:もちろん「あの世」に「正しい神」という新たな相対物をもってくるグノーシス風ディック教と荘子では、宗教的信条からすれば比較にならないほど違うのだが。

*3:究極にはまったく動かず変化もしない白いゴムボールになるというか、不動の動者ですわな

展示のお知らせ12月3日(土)~「装幀画展Ⅳ」/と、その本の話

大統領選挙、盛り上ってましたね。

私が見ていたワイドショーはなんだったの!?こんなに予想が外れるなんて。
「隠れトランプ支持」なかなか衝撃的でした。何気ないホラの積み重なりがこんなこんなことに。ホンネとタテマエなんて違って当然でしょうが、まさかここまでの沙汰になると人間の末恐ろしさを感じます。
 
殺人鬼に追い詰められても嘘はつくなと言っていた、近代の哲学者*1も逆にノーテンキなんだか。現代や、まさにクソくだらないホラ話にまみれ、笑えねぇ悪趣味なコントのような世の中から逃れられないのか?というかんじ。「自由」の予感はまったくしてこないけど。。まぁボチボチがんばりましょう。
 
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今年最後の展示は、かなり大人数のグループ企画です。
好きな本を選んで、妄想で装丁画を描き、勝手に装丁するという趣旨のものです。
あまりお会いしたことのない作家さんばかり、しかもベテランの方ばかりな気が‥
がんばろう!(>人<;)
>>
装幀画展Ⅳ 
2016年12月3日(土)~11日(日) 
11:00~19:00 最終日17:00まで 
@パレットギャラリー麻布十番 
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私は当初、特に思い入れもなかったのですが?、フィリップ・K・ディックヴァリス」という作品を選びました。
なぜ思い入れもないのに選んだのかと申しますと、その本の装丁画が好きだったからです。
藤野一友、またの名を中川彩子。病気で筆を折り、活動したのは30代半ばまでで、1980年に亡くなった作家です。*2
女性名ペンネームでの活動はビザ〜ルな仕事で、本名では二科展などで活躍していたそう。

 作品は多くが福岡市美術館に収蔵されているようで、いつか見にいってみたいものです。

天使の緊縛―藤野一友=中川彩子作品集

天使の緊縛―藤野一友=中川彩子作品集

 

 

 
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↑これが「ヴァリス」の装丁画だった「抽象的な籠」1964年の作品です。
 
この小説は最近、山形浩生さんによる新訳(ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF))が出て、こちらのほうが読みやすいのですが、藤野さんの装丁画は残念ながら使われないままとなっておるようです。
 
その後、心していろいろ読ませていただきました。
 
ジャンルはSFですが、内容は宗教体験の独白というか‥SFじゃなくね?と思い、出ているいろいろな評論なども合わせて読んでいます。これがなかなか面白いです。
思い入れの多い本となりました。
 
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私が所属している人人会でも、こういった幻想絵画系の作家さんの系譜があり、来年の特別陳列もどうやらこちら側に。
 

 

*1:カント、1797年の論文『人間愛から嘘をつく権利と称されるものについて』。わかりやすい説明を見つけました→行き過ぎた厳格主義のカリカチュアとして悪名高い。人殺しに追われる友人を匿っているとき、人殺しが友人はこの家にいるかと尋ねたとしても、友人の所在について嘘をついてはならない、とカントは言い放つ。 http://www2.human.niigata-u.ac.jp/~mt/ningen/2011/09/post_58.php 嘘問題、ホラ話。身近でシンプルに面白いテーマです。

*2:ちなみに、藤野さんの作品は、『虚構の目』『ティモシー・アーチャーの転生』『聖なる侵入』などのディック本の装丁画でもあるとのこと。

個展終了しました!/展示見聞録、憧れの大正の洋画家たち( ˘ω˘ )

さて、一部延長させていただいていた個展もついに先週末をもって終結。

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。改めて感謝申し上げます。
これから12月のはじめにグループ企画に作品が一点参加して、今年の展示は終わりです。
詳細は後日お知らせしたいと思います。
 
息子の幼稚園も無事決まって一安心です。
ボチボチ高福祉国家の我が国では、子育てにもいろいろサポートがあって概ね良いのですが、私の住む神奈川県の一部地域では保育園ならぬ幼稚園さえ激戦区!近くの園に入るのも簡単にはいかなかったっすε-(´∀`; )
 
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今回もコラグラフの版画作品でした。でも、一般的な版画技法のように同じようには刷れませんし、アクリルメディウム、粒子の凹凸、筆致などの要素だけで版を作っているので、ほとんど「絵」なんですよね。技法や素材についてはそういう感想が多かったように思います。
 
中学生の時、日本のゴッホと称された長谷川利行、例えば佐伯祐三などに代表される*1もろもろのエモいフォーブ画家達(別名1930年協会系)に憧れてヌルヌル系絵画を描きはじめました。
今思えばどうして?という気持ちなきにしもあらずですが、尾をひいているんですかねぇ。
うちの両親も「なんでも鑑定団」とか見てなかったけどなぁ。。
 
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けっこう展示も巡れて、久しぶり大型展にも行けました。東京ステーションギャラリーの「動き出す!絵画 ペール北山の夢―モネ、ゴッホピカソらと大正の若き洋画家たち」。ヒュウザン会の資料などがなにやら可愛らしかったです。
 
洋物やペールさんより、木村荘八が特にいろいろ。
自分にとっては長年お世話になっている画廊の羽黒洞に関係して、後期の下町作品を目にすることが多い作家。白樺派な流れから現物を通して観られると、いつもの作品も違って見えてくる。逆にその経験があるからこそ、この鑑賞があるとするべきなのか。
 
こういった企画では岸田劉生の点数がどうしたって多くなりますが、それらに挟まれた荘八は劉生やら椿貞雄やら、2枚目に挟まれた個性派俳優ですなぁ〜( ˘ω˘ )
 
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上段は全部木村荘八、下段の左だけ劉生さん。これだけ立派なカタログが2000円代とかで買えると、ついつい買ってしまうなぁ〜
 
 
 

*1:若い人にはそんな有名じゃないかも‥没後もいろいろ香ばしい事件のある作家。

個展終了→一部は会期延長中です!

22日(土)をもちまして、個展《まだいるよー》at ギャラリーT-BOXが終了しました。

来てくださったお客様、応援してくださった方々どうもありがとうございました。

 

さて、タイトルにありますように一部は会期を延長、常設展に掛けていただけることになりました。明日24日(月)から29日(土)まで予定されています。営業時間は11:00~19:00まで、最終日は16:00まで。SpaceBではイケザキ カオリさんの個展が開催中です。

ご好評いただき売約されている作品は下げているのですが、残って粘り強く壁に張り付いているという、ある意味引きの強い作品たちが展開中です。

変なヤツがまだいます。ぜひ。

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先週までの展示風景です。

なぜか見に来てくれた自分のオヤジが写り込む。この角度からはこれしかない。。。後悔。。。 

 取り急ぎお知らせまで。どうぞよろしくお願いします!

 

 

 

 

明日から京橋のギャラリーTーBOXにて個展はじまります!

明日から個展の会期はじまります。

6日間(うち最終日は夕方5時まで)あっという間でしょうな。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

このエントリを書いているのはもちろん宣伝のためなのですが、いつも自分のセールスポイントと観ていただくお客さんのポイントがマッチしません。かといって積極的に折り合いを探していくぞ!という商売でもないので、なんとしたらいいものか。
「これからはセルフプロデュースの時代だゾ!」と説教され続けてきたのですが、難しいですねぇ。
 
今回はコラグラフ版画の新作を20点ほど。版作品なのですが、ほとんどはモノタイプ(一点もの)です。
なんとなくテーマは「骨」としていたのですが、結果的にはシリーズものというより個々独立した絵の展示になりました。何かの折にでもご高覧いただけたら幸いです。
 
↓こちらが詳しいエントリです↓

 
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会場のTOKYO YAESU T-BOXは、入り口がわかりづらくて道に迷う方がいらっしゃいます。
 
東京駅からも近いのですが、銀座線京橋駅の3番出口からが一番近いです。
そこで出ていただくと、ダン建築ドヤァ!っと大判強化ガラスをふんだんに使用した商業ビル「東京スクエアガーデン」の地下階に出ます。地上階(アウトドアブランド”モンベル”とかLAWSONなどが入っています)のコンコースを有楽町駅や東京国際フォーラムの方向に歩きますと、古びた雑居ビルに居酒屋「村さ来」やカラオケBOXが見えてきます。
 
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この細い階段を上がるとギャラリーがあります。3Fです。
明日はお昼ちょっと前くらいから在廊します!
 

内藤瑶子個展《まだいるよー》10月17(月)より開催します〜!東京・八重洲 T-BOXにて

今年も京橋にあるギャラリーT-BOXにて個展を開催させていただきます!
10月17日(月)から6日間の会期(うち最終日の土曜日は16:00まで)となっております。
新作版画作品を出品します。お待ちしておりますm(- -)m。是非是非!
 
 
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内藤瑶子展《まだいるよー》

◉2016年10月17日(月)~10月22日(土)
◉11:00~19:00, 最終日は16:00まで
 
◉会場:
東京・八重洲 T-BOX
http://www.tbox.co.jp/
〒104-0028
東京都中央区八重洲 2-8-10松岡八重洲ビル3F
TEL/FAX: 03-5200-5201
 
 「いっそ消えてなくってしまいたい‥」 何度思ったことだろう。
 しかし、現実的に人間は自分の死体さえ片付けられず、骨を拾うこともできない。さらに考えれば、ばらまいた種、または霊魂!?もしくは記憶のたぐい、息絶えた後も中途半端に、しばらくこの世で漂ってしまうような気がする。墓の中で裁きを待つか、それとも千の風にでもなるか…
 愛すべき因果者をテーマに新作版画などを出品します。(内藤)
 
いつもこのように短い一言メッセージを入れているのですが、なんだか今回は遠目に見ると根本敬さん信者っぽい気が…
 
 
DM裏

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