画家の死後:内藤瑶子の生前日記

自称絵描き|内藤瑶子のナイトー自身による、活動報告のブログです。/ 東京近辺で活動中。詳しいことはhttp://yokonaito.info/へ。

人人終了・テレビ・絵を買ったその後

無常だね。

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」かね。流れがはやすぎてやばい……(@o@) 

とりあえず、お知らせすべきなのは次の2点

  • 「第42回人人展」が無事終了。たくさんの方々のご協力なしにはできない展示です。尽力下さった方々、そして来て頂いたお客様に感謝とお礼を申し上げます。
  • BSフジにて毎週火曜 21:55~22:00 放送中のテレビプログラム「ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~」に、縁あって出演させていただくことになっています。

    breakzenya.art

やっぱりテレビってすごい。私の活動にあまり興味を示さない息子だが、一気に尊敬ムードに。

絵に興味のない旧友、親戚連中などの「風来坊・ないと〜」への視線に変化が!

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人人展については、展示の様子などをまとめたものを編集中ではあるのですが。

特別陳列でフューチャーしていた物故作家は、おなじみの(?)中村正義(1924 - 1977)と佐熊桂一郎(1929 - 2006)。さまざまな方面の方々の協力あっての企画なので、そのセレクトにも当然さまざまな事情が絡みます。

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「第42回人人展」特別陳列「顔」の会場風景。一番右が佐熊桂一郎「巡礼の女」 油彩 F40 制作年不詳。

飾ることになった今回の佐熊作品は、絵の上からなにやら感情的に内容をうち消そうとするような筆致の入るもので、かなり重ねて描いたようなごそごそしたマチエールに産みの苦しみを感じます。

そういえば、某所でけっこう前に購入した佐熊作品。慌ただしすぎて未開封でしたが、出してジロジロしてみました。けっこう人人に出ていた作品に近いかも。

 

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これがその佐熊作品、その名も「女」。人人作家で学芸員の大野俊治さんに聞いてみると、これらの女性像は佐熊さんの奥様にも似ているみたい。

佐熊さんといえば、劉生に影響を受けた風の童女、名前を「おちかさん」という絵解きが有名。

江戸時代でも、近代化する過程でも、基本的に精神障害のある子供は納屋とか座敷牢などに匿うのが普通だったそう。佐熊さんが幼少期に伊東の温泉街の「座敷の隅」で会った「おちかさん」はそういった子だったようで、後の絵に大きく影響を与えているらしい。

 

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第33回展の図録が追悼陳列。これはおちかさんっぽい仕上がり。中にもかなり解説あり。この時はまだ小山さんもヘンリーさんも堀さんも松さんも生きていたんだなぁ。。

私の母親も、地方のいいお屋敷の中に座敷牢があるのを見たことがあるそう。意外と身近なんですね。

今では考えられないけれど、江戸時代から文明化するにあたって精神障害者はどんどん社会からは締め出される方向にあって、そのすべてのしわ寄せが家族への負担になっていたとのこと。(↓この書籍より↓)

狂気と犯罪 (講談社+α新書)

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 たとえば、佐熊さんと同じく人人会の創立メンバーだった斎藤真一(1922 - 1994)は瞽女さんを大きく打ち出した絵で人気を博していたけれど、佐熊さんの言説を見る限りでは、そういった事柄を強く訴求したかったわけではなさそう(?)。

ともあれ、この画家は本当にこういう絵ばかり。

ワンパターンを超えて、得体の知れない迫力のある画業です。

 

ちなみに、ためしに額を開けてみたらマット台紙で覆われて見えなかったところに新たなマット台紙と予想外に大きな画面が出現。どういうこと!?

よく見たら、水彩じゃなくて油彩。中はキャンバスになっていた。

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どういう経緯でこうなっちゃったの!?スゲー謎だが大事にします。