画家の死後:内藤瑶子の生前日記

自称絵描き|内藤瑶子のナイトー自身による、活動報告のブログです。/ 東京近辺で活動中。詳しいことはhttp://yokonaito.info/へ。

個展・グループ展あります/作品と技法について。

展示が続きます。頑張って準備しているので、皆さん是非!ご来場くださいませ。

 

◉10月18日(金)から27日(日)まで、藤沢宿 蔵まえギャラリーで「版画の領域&∞ -ART in everyday life-」というグループ企画に参加します!

茅ヶ崎在住の身としては、おとなり藤沢市の展示はとても嬉しいです。初対面の作家さんが多くて緊張しますッ……。

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《謎の動物・ムースの歩進技法》版画紙にコラグラフ、モノタイプ、ゴーストサイズ:各480×560mm

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これが詳細です!

 

◉グループ展会期の翌日、28日〜は京橋にある東京八重洲・T-BOXで個展。今年も開催させていただけることになりました。今回は、店主の高橋さんがDMのために一筆書いてくださいました。T-BOX: http://www.tbox.co.jp/

なかなかハードな感じに仕上がってますが、さて内容どうなることやら?

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《The Unity of Opposites》版画紙にダイナミックコラグラフ、ゴースト、右:31×28cm、左:30×25cm(題名と技法は同じです)

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2019年10月28日(月)〜11月2日(土)11:00〜19:00、土曜日は16:00まで。

 よく考えたら、日曜日の会期はないのに「日曜休廊」っておかしい!誤植です。

 

◉さ・ら・に、個展会期のまた翌日から、大変お世話になっているギャラリーブリキ星さんのお誘いでグループ企画「ニシオギ空想計画Vol.2」に参加を予定しています。出品作は未定です。https://nishiogi.in/imagine_nishiogi2/

西荻窪駅周辺は今、再開発が行われています。

私が若い頃からお世話になっているギャラリーブリキ星は、それに伴う道路拡張工事によって、存続の危機に見舞われているのです。

 

愛着のあるスペースに心を寄せたいと思います。

 

 

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さて、ちょっと作品と技法の話をば。

 

私の版を使った作品は、一点物(モノタイプ)とエディション作品(コラグラフ)の中間的なものが多くて、たまに「ズルい、純粋な一点ものじゃない」とか「伝統的なテクニックを軽視している」というご批判(?)を受けることがあります。

 

まずそもそも、私は中学からマトモに学校に行っていないし、ずっと中卒のままだったのも事実。絵の師匠もおらず、美大教育も受けていない……そういった変わり種なので、私に正統を求めてもネェ。とも思うのですが。。

 

、、一方で、私を育ててくださった、ティーンの時から世話を焼いていただいた画商さん、骨董商さん達と、ご支援いただいたコレクターの方々。丁寧に教えていただいた版画工房の先生、目をかけてくださった哲学の先生方など、、たいへんありがたく、恵まれていたことはもちろん、申し上げておかなければなりますまい!

 

話を戻すとして、、ともかく、あくまで技法は、私の絵にとっては手段であり本質ではないので、特に気にすることもなかったのですが、一方で、このプロセスには愛着もあるし、作品にとって必然性もある。

ということで、自分の使っている技法に、「ダイナミックコラグラフ」と「不可逆的ゴースト(仮)」勝手に命名し(!)説明することにしました。

 

そもそも技法や素材に興味がない人(それでいいと思います)にはかなりどうでもいい内容でしょうが、これを機に列挙しておきます。

 

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◉まず「ダイナミックコラグラフ」は、完全な一回性の「モノタイプ」と、同じイメージが複製できる「コラグラフ」の折衷のようなものです。

インクを詰めたり描画したりしながら、その場で版を組み上げます。アナログで直感的な作業ができる点がいいところです。

私は「全く同じ画面が刷れる」ことには魅力を感じていませんが、「同じ「ような」画面が刷れる」ということは面白いことだと思っています。

画面の生成はあくまで無根拠。版のコレダ!という刷りも単一とは限りませんからね。

 

 

「不可逆的ゴースト(仮)」の一番重要なコンセプトは、版の反復性をなくして、過程的なものと捉えるということです。

「不可逆的」という言葉が、仰々しすぎるのでちょっと悩んでます😅*1

多色で刷るのですが、版を洗うことはせず、前のインクが残った、いわば残像のようなものを引き継ぎながら再刷していきます。

これは、信念の問題にも感じられますが、、まず、特別な調子や色彩を出したいときに使うということが、重要です。(変に重ねると、単純に色が濁るだけなので)

 

版の状態や材質にもよりますが、何れにせよあまり強度はないので、大量に刷るのは難しいです。

 

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印刷技術が発達している現代ですから、同じものを印刷するということより、人間の感覚を研ぎ澄ますような手仕事を追求した方がいい、ということを考えています。

 

じゃあ「なぜ版技法なのか。」という根本問題は、まだうまく説明がつきません、が、刷り上がると同時に、様々な要素を一気に平面に統合する「版」は、制作者を圧倒してくるものです。

なので、私の絵にとって、一種の劇薬なのでしょう。

あまり依存しすぎるのもどうなのか🤔……とも。

 

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最近、金箔がマイブームです。この作品は、グループ展の方に出そうかな?と思案中です。



 

 

*1:

この「ゴースト」というもの名称自体は、凹版の溝が深い場合に、1回刷りをして余分なインクを除いたあと、再度刷ったものを本刷りとして採用する時にも使っているようです。

あまりネット検索だと見あたらなかったのですが、絵の具の会社・ターナーのサイトに記述があったものを見つけました。

「モノタイプはたった一つの『単刷り版画』を作ります。インクの大部分は最初のプレスで取り除かれるからです。その後の再版が可能なこともありますが、初版とは大きく異なるものになり、一般的には初版より劣ると考えられます。原板から2度目に刷ったものは『ゴーストプリント』とか『同族』と呼ばれています。」

https://turner.co.jp/art/golden/technicaldata/justpaint/jp32/jp32article3.html