「第41回人人展」今年も開催します。
「第41回人人展」今年も3月1日から開催となります。ともなって湯島の画廊・羽黒洞で同時開催される小品展「小さな人人展」にも出品します。まだ会期まで少し時間がありますが、皆さまお誘い合わせの上、ぜひご来場ください!
↓詳しくはこちらにて!!!!↓
みなさまに興味を持っていただきたいので、簡潔に見所を述べます。(が、多少フライング気味ですので、変更などあった場合はご容赦ください)
今年の特別陳列は人人展会員の尾藤さんの彫刻作品を中心に構成された「尾藤敏彦 藤林叡三氏、ヨシダヨシエ氏へのオマージュ」を予定しています。
武蔵野美術大学で教授を務められていた藤林叡三さん(1996年没)の、70年代に描かれた代表作である幻想絵画群を大学からお借りできるとのこと。まず見所のひとつだと思います。
しかし、どの作品になるか本決まりしていない様子。私は宣材にも使った「あらそい」見たいですねぇ~*1
ちなみにこの宣材↓私がデザインしたのですが、なんだかネットゲームのバナー広告みたいになってしまって罪悪感が(^^;;;) ともあれワクワクしてきます。左が尾藤敏彦さんの作品。体から石膏型を直取りするという、とてもエロい技法で彫刻を作っているもよう。しかし本人は至ってダンディーな方。恩年70、間違いなく若い時はもてましたね。
去年の1月に亡くなった評論家のヨシダ・ヨシエさんは、尾藤さんの作品評を書かれていて交流も深く、また人人会初期に出品していた丸木位里、俊夫妻が共同制作した「原爆の図」の巡回に大きく関わった方でもあります。また、人人会の周辺にもヨシダさんに影響を受け、信奉している方が多数いらっしゃると思います。
各々のアンデパンダン展、また我々人人会のような70年代前後に設立された在野団体は「反アカデミック」「反官展」といったスローガンだけでなくて、(山下菊二にも代表されるように)戦争体験者、または体験者から直接影響を受けた世代で、さらに学生運動、安保闘争、アナーキスト思想が流行していた時代も経てきていて、社会運動を志す作家の動きも活発でした。その後、人人会にはあまりそういった作家は残らなくなりましたが、戦後の社会思想もバックボーンとして大きいのだと思います。*2
私の個人的な話で恐縮ですが、この界隈にいて「お前は戦争を経験していないからだめなんだ!」と年配の方にしょっちゅうディスられてきて、そんな身も蓋もねぇ、、とは思っていたのですが(当方85年生まれ)そういう戦後美術の流れの中に存在しているからこそ、自分がそれをどう解釈して活動するかという事柄は明確にしていく必要があるんだ!という真っ当なツッコミなんだと思います、たぶん。
オマージュ作品の全容はよくわからないのですが、一種のヨシダ・ヨシエさん追悼展となるのだと思います。
追悼展は同じく去年亡くなった画家・絵本作家の井上洋介さんを予定しています。『くまの子ウーフ』なつかしいですねぇ。子供のころお世話になりました。去年の年末に渋谷のアツコバルーで行われた展示も良かったです!
絵本で知られる井上さんも、実は実際の戦争体験を元に絵画を制作していました。人人展には第2回~第25回(1976~1999)まで出品されています。
2014年4月19日の東京新聞のインタビューでこう応えられていました。
「俺の肩書は、絵描き。描くことが好きでたまらないんです」
「一九九五年、「从(ひとひと)展」に出品した油彩「室内図」の画面中央には巨大な穴。たたきつけるような筆遣いが胸に迫る。かと思えば、八六年出版の自作絵本『アナボコえほん』は電車や海などいろんな場所に穴が空いてしまう内容でクスッと笑わせる。「俺にとって、穴は爆弾の跡。でも、絵本は見て笑ってくれれば十分。ナンセンスでしょ?」
穴は爆弾の跡なんだ。観る時に参考にしてみよう、、
エロ、グロ、ナンセンスと評される独自の世界。笑わせた後に考えさせるのが井上流だ。「ナンセンスって、笑いでもあるし、風刺でもある。笑いがないと人間の呼吸が伝わらない」。
他にも関連イベントとして、人人会創設者でもある画家・中村正義をフィーチャーしたドキュメンタリー映画『父をめぐる旅 異才の日本画家・中村正義の生涯』(2013年公開)の上映会を東京と美術館講堂で行います。
無料なのでぜひ来ていただきたいと思います。
ーー
しかし、思いのほか長くなってしまったので、また次回、映画についても書こうと思っています!
*1:97年に武蔵野大学美術館で追悼展が行われており、この時に作品が寄贈となったようです。http://mauml.musabi.ac.jp/museum/archives/3429
*2:日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ/ヨシダ・ヨシエ オーラル・ヒストリー
php:ヨシダさんの対談がアーカイブされていて、とても参考になりました。インタビューする方が素晴らしいのか、とてもお役立ちな内容でした。他のコンテンツもとても面白いです。