画家の死後:内藤瑶子の生前日記

自称絵描き|内藤瑶子のナイトー自身による、活動報告のブログです。/ 東京近辺で活動中。詳しいことはhttp://yokonaito.info/へ。

個展がはじまってます/『現象学と表現主義』

2月1日からはじまっているギャラリーブリキ星での個展、土日と在廊した限りでは充実したものになっています。

それもそのはず、作品は新旧問わず、ギャラリーの空間を見込んだセレクションです。

 

個人蔵、ギャラリー所蔵作品の放出・販売もあり、新作を販売する身としては何やら不安もありましたが、蓋を開けてみれば楽しいものです😃

 

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展示の様子。正面の謎な油彩は、2004年頃の作品です。

 

日曜日の呈茶も大好評!

協力してくださった大田将志さんに感謝!

最終日もありますので、ぜひご来場下さい。詳細は末尾につけています。

 

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恒例になってきた読書日記は、多忙にてあまり書き溜めておらず一冊だけ。


5年以上前に買った時はチンプンカンでしたが、最近再読してハマったもの。

現象学と表現主義 (講談社学術文庫)

現象学と表現主義 (講談社学術文庫)

 


いきなり脱線しますけど、

私は絵描きなので、表現主義について勉強しています(いました)」と言うと、

大概の方は、私が何かを標榜していたり、絵も何某かの「イズム」を表現していたりするのではないか?と思われるようですが、そういったことではありません。

自分の場合は哲学専攻でしたし、認識とか方法などを含んだ広い意味での「表現主義」で、思想史、精神史っぽい、まさにこの本のような内容。

もちろん、自分の考え方や活動に関係はあります。

 

 

敢えて例は出しませんが……美術分野の狭義な意味での「表現主義」は、特に日本では漠然と悪いイメージを持たれがちなようで、たまにそういう光景を目にします。

明治・大正の「向こうの美術」を受容する過程で、いわゆる人生賛歌なロマンチックなものに捉えられすぎた、とか、

景気がいい時に流行った新表現主義「ニューペインティング」のコマーシャリズムが、真面目な人には反省的に映るとか、そういう感じなんでしょうか。

 

 

あんま適当なことを書きすぎるのは良くないですけど、表現主義に関わる「主観」という言葉の、一般的な意味と、欧米(特に欧?)の思想文脈で使われる意味とのギャップはかなりありますよね。

向こうさんの「唯一の神」、自然観と認識論は深い関わりがあるので、当然自然主義印象主義)に対抗するかまえも日本人の感覚とはかなり違う。チグハグなのは当たり前なのかなと思います。

 

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ちなみにこの本の内容は、、 

 

現象学表現主義の思考形態には「脱現実化的実在化」という共通性があって、時代的に必然的に起こってくる。この思考形態を、一回性の運動や思索としてだけではなく分析して論を展開する!というもの。

その「形態」という意味がなにやら難しいようだけども。

ここでの現象学というのは、厳密にはフッサールイデーン』なのだけど、それが前の『論理学研究』とかフッサール後期のものとどう違うのか?とかなってくると

自分は一生、未確認情報で終わりそう。。。。

 

 

この本の影響力はよくわからないことが多い。82年に書かれた著作の邦訳らしいですが、訳者あとがきによれば「まだ無名の著者」で「くわしいことは知らない」らしい。

けっこうマニア向けな内容だし、どうして文庫でも出るのか(訳者が高名……?)そこのところ、他の方の感想も気になるところです。

 

 

ともあれ、私のような一般的な読者にとっても、調べ物で読むような、日本の精密な論文と対照的で、デカい事に突っ込んでいくワクワク感があります。

社会学、心理学、美術史学……学問がいろいろ出てきた熱い時代の様相を、創造的思考の典型を通して感じることができます。

 

 

 

個人は何を捉えられるか?ずっと歴史を貫いてる謎でもありますね。

(かなり無理矢理繋げればですけど💧)絵を描く時も、どうやってユニークな形を創り出すのか、出せるのか?というのはとても素朴で深い問題です。

  

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内藤瑶子作品展ギャラリーブリキ星

 

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内藤瑶子作品展、詳細

http://burikiboshi.o.oo7.jp/

◉ 2月1日(土)~9日(日)12時から17時

*2日(日)、9日(日)には、会場で呈茶を行います。

(土曜日、日曜日作家在廊)

 

2001年頃(16歳~17歳)から最近作まで、約20年間の作品が並びます。

是非ご来場ください。

 (展示作品に個人蔵が含まれ、一部非売品があります)

 

展示協力:山根康壮・大田将志