画家の死後:内藤瑶子の生前日記

自称絵描き|内藤瑶子のナイトー自身による、活動報告のブログです。/ 東京近辺で活動中。詳しいことはhttp://yokonaito.info/へ。

展示のおしらせ / 展示見聞録

◉展示のおしらせ

7月の頭から、うちわと風鈴を展示するグループ企画に出展予定です。場所は浅草のギャラリーアビアント、アサヒアートスクエアのすぐ近くにあるスペースです。版画作品を使用したうちわと、ガラスの風鈴を出品予定です。
 
2016.7.4(月)~ 7.13(水)会期中無休
11:00~19:00(最終日は17:00まで)
 
f:id:yokonaito:20160617181908p:image
 
 

◉展示見聞録

ついに先月、息子も3歳。基本的に子供(さらに男子)は騒々しいものなので、展示などには行きにくい。
とはいえ、10年前あたりの(めんへら)引きこもりだった時より、お出かけはできているような‥思春期のメランコリー、もちろん感じ方は人によりますが、豊かな時代ゆえのサイテーな病気です。悩んでいるティーンがいたら、やさしくしてやって欲しいです。
 
横道にそれました。投稿の編集せずに時が経ちすぎて、もはやダレ得?な展示鑑賞記。長いし、興味がある方はどうぞ。。前回ブログ更新から2ヶ月!元気に生きてました!
 
ーー
 
美濃瓢吾『写句展』-芭蕉・蕪村・一茶ー@羽黒洞木村東介:
人人会総会の後、一部メンバーとイベントの句会に参加しました。人生初の自分の俳句は、いかにもプレバトランキング*1で「才能ナシ!」と酷評されるようなシロモノであり、しかも文字数さえ数え間違えていて、七・七・五とかになっていた。文学性よりまず代数のモンダイ!
それでも美濃さんは「小学生から出直してこい!」なんて言わず、フォローしてくださるのだった‥(;;)
 
ーー
 
『森羅万象を刻む―デューラーから柄澤齊へ』@町田市立国際版画美術館:
エングレービングというまさに「カミワザ」な造形、私にはまったく縁のない超絶技巧(残念ながら‥)の展示。世の中にて知覚できる「形」や「質感」に関する理解・体感がマジで超人な作家ばかり。
デューラーの作品の精緻さ、豊かさも凄かったけれど、日本の作家達の世界観、コンセプトは特に興味深いものばかりだった。手法は版画で完結しているけれど、その画面の中の「小宇宙」には、その作家さんならではのテーマ選びが存分に発揮されている。深え!!独特の観察眼が大事なのですね。勉強になります。
 
f:id:yokonaito:20160617004554j:image
美術館の周りも公園になっていて良い。あいにくの雨模様でした。
 
 
ーー
 
それにしても、自然科学系(と言っていいのか‥?)の題材がなんだか気持ちが良い。
単純にいろいろ逃げたくなってるんでしょうかね?
嫌ですね、芸術鑑賞が森林浴消費になってしまっては。。。
 
そういえば、少し前にも宇宙観をテーマにしている展示がとても印象に残りました。
 
ーー
 
『橋場信夫展 -マンダラ 素粒子力学と仏教の邂逅-』@不忍画廊

http://shinobazu.com/tag/ex160408

華厳経にあらわれる「帝釈天の網」をモチーフにしたマンダラを制作されたとのこと。初耳でしたが、とても美しい概念です。*2。ざっくりとライプニッツモナド論に近い(と言ってよいとおもう)。在廊されていた橋場さんにデビット・ボームの素粒子力学のお話も拝聴したのですが、なにせ基礎知識がなく、申し訳ないくらいサッパリ。恐縮して脂汗をかきながら退散。
帰ってググると、そのボームさんはライプニッツを早くから再評価していたそうな。とりあえずビンゴ!その他の理科な議論は継続してサッパリ。でもとても面白そう!
 
笹口数 view from Location Zero@20202
人が生きる世の中は不確実で複雑。でも、この展示の作品のように、天文学から絶対的な日付や場所を特定できるということは、その逆。マクロな視点からはいろいろな不確定性を無視できる。まさにミクロマクロを貫く思考が一枚の画面になる不思議!
ギャラリーの方、企画者さんが親切に解説してくださって、作品群のいろいろな魅力を知りました。
美術書というより、複雑系科学の教養書を思い出しました🌬🌏
 
f:id:yokonaito:20160617004646j:image
 
今後の展開が気になる‥
 
「溢れる情報や政治的な意図も思惑もすべて削ぎ落とし、静かに眺め、問う。」
ホームページを確認していたら、企画者の方がこう綴られておりました。
いろいろあるなぁ〜!
 
その日は宇宙な展覧会が続いた上に、この駄目押しな展示。いろいろ敬服しながら帰宅。
 
 
 
 
 
 
 
 

*1:プレバト!!』は、毎日放送MBS)の制作により、TBS系列で2012年10月11日から、毎週木曜日の19時00分 - 19時55分(JST)に放送されているバラエティ番組。wikiより

*2:別名「因陀羅網」というらしい。デジタル大辞泉より:帝釈天 (たいしゃくてん) の宮殿を飾る網。その無数の結び目一つ一つに珠玉があり、互いに映じあうことから、一切のものが互いに障害とならずに関連しあうことにたとえる。帝網。

「第16回リン版画工房展」@平塚市美術館アートギャラリー、出品しています!5月1日(日)まで

本日から5月1日(日)まで、平塚市美術館アートギャラリーで開催されている「第16回リン版画工房展」に参加しています!作品は2点、昨年の個展のもの、3月の人人展(本展)のものといずれも旧作です。本当は新作を出したかったのですが、風邪をひいたりギックリ腰になったりと、なかなか都合がつかず、無念。。

都内からは遠いですが、版画(制作)に興味がある方、お近くの方は是非!

バタバタしていて写真を撮れなかったので、工房のツイッタから引用↓)

平塚市美術館アートギャラリー、素敵な空間です!

ちなみに美術館企画は「アーティストin湘南1 萬鉄五郎×岸田劉生 その仲間たち」です。(平塚市美術館トップページ

 

--

 

リン版画工房は、神奈川県の藤沢駅から歩いて数分のところにある版画工房で、すばらしい刷り師の先生のもとで制作ができます。

私は羽黒洞で版画展をすることになった2005年前後からお世話になっています。

当時の私のテクニックといえば、小学校の図工授業でやる板目木版、その一本槍。当然、自分の力不足に大いに悩み(というか今考えるとスゲー恐ろしい話!)近くにあったこの工房の門を叩きました。今も技法や刷りで悩む時、大きいサイズを扱う時、枚数をたくさん刷りたい時などチケット制を利用して通っています。

はじめて伺った時は、人気で席に空きがなくクラスに入れませんでしたが、今は時間も拡張されて、入会できるようです。じっくりと作品を作ってみたい方におすすめな工房です。

教室は銅版画をメインとされていますが、他の技法も教えていただけます。私がよく作る「木版リトグラフ」もここでネタを仕入れました🍣

 

www.linhanga.com

 

f:id:yokonaito:20160426233444j:plain

 

アートワークとCDアルバムのジャケットデザインを担当しました!

ウィーンのレーベルeditions megoからリリースされた Licht-Akiyama Trios "Tomorrow Outside Tomorrow" アートワークとCDアルバムのジャケットデザインを担当しました!すでに発売中です。iTunesamazonなどで聞いたり買ったりできますのでぜし!  

Tomorrow Outside Tomorrow

Tomorrow Outside Tomorrow

 

 

Tomorrow Outside Tomorrow

Tomorrow Outside Tomorrow

今回はアートワークだけでなく、デザインも担当して四苦八苦しました。(なにせ初だし‥)ギタリストの秋山徹次さんとは、2003年に「円波4」でコラボレーションさせていただいてからの長いおつきあいで、アートワークは6点目(?)になろうかというところ。

2006年にアメリカのANTIOPICからリリースされたTetuzi Akiyama / Oren Ambarchi / Alan Licht ”Willow Weep And Moan for Me”から連なる仕事で、同じトリオでの演奏も収録されています。(タイトル曲はLicht-Akiyamaに加えてrob mazurekさんという方の演奏)

今作、個人的にすごく好きな演奏です。

不協和音のドローンなのですが、なんだか不思議と気高い雰囲気です。普段の秋山さんはとてもフランクな方なので、本人に容易に結びつかないかんじもしますが(^^)

 

megoというレーベルは、知る人ぞ知る、テクノや実験音楽が好きな方には有名なレーベルというか‥10代の頃、渋谷のタワレコにある「new age」とかいう謎のジャンルのコーナーで、いつも物欲しげにこのレーベルのCDを眺めておりました。

まさかこんな仕事ができるとは‥人生どう転ぶかわかりませんねぇ。光栄!

 

ーーー

以前、アートワークを担当したもので、itunesのキキホーダイコースで、今すぐ聴ける音源を列挙しておきます。秋山さんが発想した絵柄も多いです。ぜひ聴いてみてください〜!

 

Willow Weep and Moan for Me - EP

Willow Weep and Moan for Me - EP

  • 秋山徹次, Oren Ambarchi & Alan Licht
  • エレクトロニック
  • ¥1500

 

Vinegar & Rum

Vinegar & Rum

  • 秋山徹次 & Donald McPherson
  • エレクトロニック
  • ¥1500

 

 

展示見聞録

先日は、育児にお暇をいただいて展示散策。

昨年取り組ませていただいた「アーティスト・イン・ホテル」プロジェクトの写真展共同通信ビル3Fのホテル入り口近くのエントランスで展示中とのことで、拝見しました。

【写真展】アーティストたちの熱気 Vol.2 ~彼らはいかにして壁紙をキャンバスにしたか~ | イベント | パークホテル東京(公式ホームページ|ベストレート保証)アーティスト イン ホテル

まことに僭越ながら自分の写真も飾ってあります。色々と宣伝していただき本当にありがたい!(左下です。)

f:id:yokonaito:20160406002736j:image

が、スゲー目が出っ張ってる自分を再確認。小学生のころのアダ名「デメキン」

今更何を気にするわけではないけれど、ちょっと恥ずかしい。

アトリウムで「青春展」、31Fで「中村眞弥子 雲の庭」など、いろいろ見ることができるので充実感があります。エレベーターホールがいい匂い!ずっと泊まらせていただいていたので、なんか入るとホッとします。

 

ーー

 

その後、三ノ輪にあるスペースdikeで催されている、友人の半田晴子さんの個展synthesisへ伺いました。展示された写真は、「同語反復」のように"繰り返し合わせた部分"がところどころあり、さらに展示タイトルsynthesis(総合)はカント認識哲学のテクニカルタームとのこと(たぶん「総合的判断」とかのこと?)

のっけからの高尚さにキンチョーしながらもご本人からいろいろお話しを聞けました。

 space dike: 半田晴子個展「synthesis」http://spacedike.blogspot.jp/2016/03/handasynthesis.html

 

必死に教科書的な哲学史を思い起こしつつ、帰って本で復習。。 。

キーワードだけ見ると、命題、認識とかを扱っているのかなぁと思うのですが、半田さんが言う「同語反復」というのは、命題云々だけでなく、ものの有り様や存在とかの問題なのかも?どうしてこの図がトートロジーなのか?ムズスギル・・。*1曇り空の写真がいいかんじでした。何かを突き詰めて考えると、すべて快晴とはいきませんね。

 

というか「現代美術」ってそんなことを考えなければならないのか!?

首や頭が痛くなってくるので、すぐ酒が飲みたくなる!

息子の寝る時間に合わせて帰るため、その日は執念(か?)で16時から酒を呑む約束を果たしましたが、本来の目的であった横浜美術館村上隆コレクションを見逃す...

(´Д` )アァー

*1:最近、この問題群を"柄谷行人の「ゲーデル問題」"と呼ぶことを知りました。経済学者の岩井克人さんの著作でも貨幣や法律、言語などでこのパラドックスを扱っていて、おもしろく、たいへんハマっていました。いろいろ掘っていると、元々は(たぶん)柄谷行人さんだった!(;゜0゜)共著も出しているし、本人も影響を受けているとのことが載ってました。

資本主義から市民主義へ (ちくま学芸文庫)

資本主義から市民主義へ (ちくま学芸文庫)

 

 読みやすいのはこれなど。

初出は2000年前後の『大航海』、美(術)についてはあまり触れられていないのですが、ケインズの「美人投票https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8E%E4%BA%BA%E6%8A%95%E7%A5%A8 など、けっこう面白い話が載っていましたヨ。

第40回人人展、終了しました!

人人展、終了しました。お越しくださったお客様に感謝いたします〜!

今回はいろいろと反響がある展示でした。
レポートはオフィシャルサイトにまとめる予定なので、こちらは私事を中心に、とりいそぎ御礼とご報告まで。

ーー
 
今回は40回記念ということで「連続する在野」と銘打った展示企画が催されました。
「在野」というのは、創立者の中村正義が好んで使っていた言葉だそう。
この企画にはそうそうたる創立メンバーを含む、生前この会に関わった人の物故作家の作品が陳列されました。そんなに死んでるんだ‥と白目になりながらも色々と考えさせられた企画でした。
いや、むしろそういった不謹慎なことを考えるのが好きで、不束者ながらテキスト「作者の死、作品の不滅」を展覧会図録の特別陳列の項目に(半ば無理やり?w)寄稿させていただきました。
 
私以外は、湯島の画廊羽黒洞の木村品子さん、(元)豊橋市美の学芸員だった大野俊治さんなど、いずれも中村正義のメッカ(!)からのテキストが収録。たいへん光栄なことだと思いました。
 
f:id:yokonaito:20160316232448j:imagef:id:yokonaito:20160316232437j:image
 
身近な本をあらためて読むにつれ、自分の(勝手に考えていた)ルーツとしての人人会の価値観、歴史などが、もっと複雑で奥深いものだったのだなぁ〜と、自分の無知を痛感いたしました。数年前まで、図録見ても「絵」しか見てなかったもんな‥絵本の延長みたいな😅
 
中村正義と山下菊二、たとえば東京展に関連した井上長三郎などが使った「反権威」は同じワードでも、なかなか意味が異なっていた‥とくに中村正義の「右でも左でもないかんじ」は面白く感じました。中村正義は、画家であると同時にプロデューサーだったとされることが多い。創造的実践の試みや、その背後にある思想にはいろいろ驚かされております。
 
最近のネタ本( ゚д゚)☞ 以前から面識があり、いろいろ言葉をかけてくださる笹木繁男さん(現代美術資料センター)著書「ドキュメント 時代と 刺し違えた画家 中村正義の生涯」。一般の本屋さんでは売っていないとのこと。これだけまわりに詳しい人がいるのだから、いろいろ突っ込んで考えてみようと思う近頃。

http://nakamuramasayoshi.com/_wp/wp-content/uploads/2012/07/book_document.pdf

 
ーー
↓ここ最近、人人展についてこのブログでとりあげています。

【告知(と無駄話)】「第40回人人展」特別陳列「連続する在野」、追悼展示:松 三郎

いろいろと「第40回人人展」の内容が固まりつつあります。(まだ自分の展示内容はフワフワのままなのですが、大汗)
今回の図録の表紙は山下菊二の『昭和20年・夏』(油彩 1974年)。
画集を確認すると、けっこう大きい作品です。展示が楽しみです!
 
 ーー
 
山下菊二の「あけぼの村物語」が東京国立近代美術館に収蔵されたのは2013年(最近!)だそう。オンラインで無料配布している『現代の眼613』に論考が二本掲載されており、興味深く読みました。ひょっとして、この図録表紙の作品もどこかの美術館の常設で見ることになったりして?
美術館に作品が入りきらないのかしら。

この表紙絵のタイトルである昭和20年(1945年)の夏とは、まさに原爆が投下され、敗戦する最中。この『現代の眼613』の二番目に載っている「告発と眼差し 」という文中で指摘されていることを踏まえれば、この『昭和20年・夏』を見ている我々もまた、何かを告発されているのでしょうか。 

引用するより読むが易し。短いので、興味のある方はご一読おすすめします。
 
 
人人展・会が当初「反体制」というスローガンとともに認識されたのは、山下菊二の存在が大きいのではないでしょうか。この絵の図柄や70年代からの「反天皇制シリーズ」などもあわせると、私の浅〜いリベラル耳学問による判断でも、どう考えても吉本隆明とかが浮かんできます。

*1

ーー

画集などを確認すると、山下菊二天皇制につらなる根源的な権力構造の問題、犯罪性(山下菊二の考えによれば、民衆のあいだの階層分化にもとづく差別構造と対応するらしい。。)「加害者としての自己を生んだ基板」と対決し続けたとされているらしい。
それに対して、最近「人人展」に出品している作家さんの作品を拝見すると、隠され見過ごされてきた根源的なもの(たとえば土着の神々や妖怪)、伝統的なものなどを取り上げて、賛美するとまではいかないまでも、どちらかと言えば肯定的にとらえなおそうとしている作家さんが多い(ような気がする)。
戦中戦後の絵や考え方からなぞっていくと、時代の変化を感じました。
 
ーー
 
 追悼展示は2014年に逝去した松三郎。享年76歳。
1999年に人人会に参加し、14年まで出品を続けていました。
表現主義的で激しい画面と、ドラマチックで無頼な生き様が印象的な方でした。
 
松さんとは、生前何回もお酒を共にしたことがあるけれど、いつも松さんが酔っ払いすぎていたから、殆ど会話らしい会話をしたことがなかった。でもその点は不思議と悔いはないような。
その酔った存在のみで伝わり過ぎているところがある。
松さんのことを思い出していると、我々が必死で重ねている言葉や議論に一体どんな価値があるのだろうと思ってしまう。

人人会のメンバーは、かなり強力な作品を前にワサワサしております。

 

*1:

ちなみにこの吉本隆明考え方自体は「コレで左派ってなんでなの?むしろ保守じゃん!」と実は思っていた。

 その後「この著作を 、 『新左翼の理論家としての吉本 』を知らない現代の読者が読めば 、神話学と民俗学をベースにした文芸批評か政治思想の本としか思えないだろう 」「吉本の経歴とは関係なく 、このテクスト自体から 、政治的メッセ ージを直接的に読み取ろうとすれば 、むしろ社会主義革命の不可能性を示唆する保守的な思想が垣間見えるだろう 。」と書いてあったこの本に膝をうったのだった。どうやら流れを知らなさすぎなのだった!(◎_◎;)

「人人会」のウェブサイトを制作しました!/美術グループのあれやこれや

私が所属する美術グループ「人人会」のウェブサイトを制作しました!
コンテンツもまだ少なく、完全なる素人芸。何か変な所があったら、コッソリ一報下さい…。いろいろと心配ではあるのですが、下記アドレスにて公開中です。
ここ最近、東京都美術館を借りて活動する団体は、インターネットを通じて情報を公開したり、公募したりすることが必要不可欠となっているようです。
 
せっかくなので、簡単に(といっても、けっこうな文量になってしまいましたが)このグループと私の関わりなどご紹介します。もし良かったら読んでみてください。敬称は略しています。

◉「人人会」とは

「人人会」は1974年に日本画家の中村正義を中心に、星野眞吾・山下菊二・大島哲以・田島征三・佐熊桂一郎・斎藤真一、また評論家の針生一郎も関与するなど*1、実はそうそうたるメンバーにて設立された美術グループです。今年で第40回を迎えます。
現在は30人前後の作家が参加し、毎年春先(今年は3月2日から!)に東京都美術館で展示を行っています。
作家あたり5〜6mブースのグループ展+作家による展示企画(今風に言えばキュレーションなのか…)がドッキングした構成になっています。
 
 

◉「反体制」というスローガンについて

74年発足時にとり上げた新聞や、当時を物語るテキストを確認すると、反画壇、反権力、反体制…など、「反○○」という言葉が大きく目をひきます。*2
私はこの団体に関わる上で、こういったスローガンの現在について質問を受けることがたびたびありました。そのような話題で他のメンバーと盛り上がった記憶はありません。また、コンセプトの変遷は、イワユル日本左派の思想史と絡めて興味はあるのですが、今のところ何か結果結論めいたものもありません。
 
ただ、人人会は「反体制」が知的な態度だった時代の流れに華々しく発足した後も、東京都美術館をお借りする形で40回も着実に回を重ねて(しまって?)います。
「反体制」を謳ったこの展示が「公共の施設」に存在し続ける批評的なメッセージも変化していると考えるのが自然だと思います。
他の文章にも書いたのですが、美術運動体としてのグループというのは、10年が寿命とされているそうです。今はもっと短いのかもしれません。もちろん長く続けば良いと、そういうことではないでしょう。
 
反画壇、反権力、反体制…このように続けば、美術グループにとって、コンセプトとは単なる問題提起なのか?それとも「理念」の問題なのか?なかなか曖昧で、またそもそも美的な趣向・表現の同志の集いでもあって、それが思想の上でキッチリ一枚岩でいられるものなのか…現に人人会にもそういった摩擦が存在し、脱退や分裂の危機があったという記録もあります。またそれを経る上で、専門的でマニアック「絵師」的な画風を持つ作家が残ったことは、この会の運命を大きく左右したのではないでしょうか。
 
私自身は、社会運動系の考え方より、中心的な創立メンバーだった中村正義の「個を確立した作家」が「個でありながら連帯することを重要視する」という投げかけが、妙に気になっています。
美術に限らず、常に何かを超越する、ブレイクスルーし続ける原動力は「個人」に宿るもので、逆に「集団・グループ」というのは設立当初から充足していこうとする、守りに入って行く性質を持つもの。このような「個人・個性」vs「全体」という構図は別に私がひらめいたものでもなんでもなく、20世紀の初頭にはあった考え方で、そういった議論をふまえた思想が中村正義にあったのだろうか…?と思ったり。
個性的であろうとし、かつ全体へ向かって生きる「人間」の矛盾や葛藤。
著書などを読んでいると、この人の考える「美術」が時にとてもプラグマティックにうつる時もあって斬新に感じてしまうことがあります。

 

◉「場」としての人人会と私

私は美術大学はおろか、中学生からのドロップアウト組。社会からも断絶されており、運良くこの場所に半ば拾われるような形で出会いました。20歳前後で気づけばここらにおり、先人を尊敬こそすれ「発表場所ができたラッキー!」という感情が大きく、今更辺りを見回して「そういえば人人会ってナンダロウ…」となっているわけです。
今思えば多方面にご迷惑をおかけしたのだろうな、、と振り返ることも多く、この会の共同体的な性格に対する思いも格別なものがあります。
会の内部でも、0年代には人人会を「場」として考えるというトピックが存在*3しており、多かれ少なかれそういった意識を持って参加している方々が多いのではないでしょうか。
 
30代のメンバーもいるのですが、いわゆる大型公募展の例にもれず、高年齢化はしています。制作や活動のセオリーから、社会人としてのあり方まで沢山の作家さんの背中を見て学びつつ、もう何回も追悼展を目撃しました。
本当に不謹慎なのですが、作家さんが死んでいくのがとても神秘的で印象深く、影響を受けました。
作家活動には山あり谷あり、全てが全盛期!という人はそういないと思います。そして誰もが老て、低空飛行になって…となると、何かを作り出し、世に出し続けるって一体なんなのか?
意義のあるなしで考えれば、そもそも無駄とすれば全てが無駄なような気もしてくる。
じゃあ「よさげ」に生きること、作ることを人は試みなくなるのか。
 
当たり前のように誰もが自己表現をする時代で、淘汰の流れはとてもはやい。
その中で、十年をまたいでじっくりと作品を考えていく、そういうものに寄り添ったコミュニティがあって良かったなぁと思っています。
ちなみに今度の企画展示は「連続する在野」という題名にてビックネームから「最近死んだ人」😅までを特別展示します。

中村正義、星野眞吾、山下菊二、斎藤真一、大島哲以、三上 誠

佐熊桂一郎、平賀敬、佐藤多持、堀 越雄、沼沢 仁、大熊雅博…

楽しみです!詳しくは下記にて。

hitohitokai.org

 

 
 

*1:豊橋市美術館の説明ページに詳しいのですが:

人人会 | 豊橋市美術博物館

http://www.toyohashi-bihaku.jp/?page_id=912

*2:いろいろ調べていると、この会の設立当初の特色が「反○○」とひとくちに言えるのか?というのも気になります。

*3:参照図録:中村正義と交友の画家たち展 -人人会創立の頃-|刈谷市|刈谷市美術館