「俳句へのオマージュ」会期中です。|江戸の美意識と「野暮」
「俳句へのオマージュ」は初めてご一緒する作家さんばかり、そして初めて展示させていただく画廊、そしてテーマが俳句。ちょっと意外なお誘いでした。
それにしても、いろいろと展示させていただく機会があるのはありがたいこってす!
そんな中、企画者・御子柴さんにご紹介いただいたのが一茶の句でした。
身近にある情景から政治風刺、動物とかのかわいいやつまで沢山あります。
自分はこれを選んでみましたよ。
ざぶりざぶりざぶり雨ふるかれの(枯野)哉
「享和句帖」
ほちやほちやと薮蕣(やぶあさがほ)の咲にけり
「文化句帖」
一茶は二万句もあるので、全集をパラパラしているだけではまったく決まらず。
オノマトペ系から選び、冬の雨の句はもともと描いてみたかったので……などなど、ネット検索なども駆使して調べました。
ちなみに、「ざぶりざぶり」は秋の句もあって、
ぬくき雨のざぶりざぶりと野分哉
「西紀書込」
ざぶざぶと暖き雨ふる野分哉
「西国紀行書込」
などなど、けっこうざぶざぶ系は気に入っていた(?)ようです。
朝顔ホチャホチャは、もうそれだけで気に入りました。
キャプション表記などはは上のものを参考にしています。
特に岩波シンパというわけではないのですが、一般民向け通史の新書とかではお世話になってます。
『 時代を詠んだ〜』は文学としての一茶研究ではなくて、一茶と、一茶が生きた文化文政期の関わりが主な内容。
この本によれば、どうやらこの時代は、いわゆる上流の「江戸っ子」文化ではなくて、「いまだ洗練されていない中・下層民の生活感を肯定する『野暮』に代表される文化」が主流だったそう。
一茶さんも自覚的に「庶民派一茶」としてセコセコ俳句を作っていたようです。
どちらかと言えば、ストリート系か。
「粋(いき)」「通」とかじゃなくて「野暮」……。
自分もどちらかといえば野暮。
なぜ一茶を勧められたのか、なんとなくわかるな〜。