近況/中村忠二展@練馬区立美術館、公募展落選しまくりの画家?
その場で持ち帰っていただく企画は気をつけないと。。
「そりゃないよ!」ってなっちゃったお客様がいましたら、 この場を借りてお詫び申し上げます。だいたい、そんなこと滅多にないしね。ありがたい!
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未就学児連れなので、たいがいはボォっとしていたのですが、ロッキー山脈周辺の国立公園をドライブしたりなど、おまけにアメ車で高速道路を運転できたし、のんびり満喫できました。
遠近感が歪んでくるようなどデカい山の景色は、 人生観変わりそう。
でも写真で撮ると、普通なんだよなぁ。。
ただ単純に作品を巨大化すればいいとは思わないけど、 大きいスケールものに挑戦したい気持ちになってきます。
そして、 いつでもどこでも気軽にデジタルコンテンツを楽しめる時代に、 体感する感動をどのように考えていけばいいのかしら。
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まとまって観れるのはありがたい!クソ暑い中行った甲斐がありました。
私もよく制作する「モノタイプ版画」を沢山作っていて、もちろん作品は大好きです。が、活動来歴や画業にもかなり興味をそそられました。明治から昭和までを生きた作家です。
まず、普通に仕事をしながら活動をしており、 またアカデミックな教育を受けていません。そして、帝展・文展には9回挑戦するが、そのうち8回は落選しているという。。他にも春陽会、二科展、国画会……かなりの頻度で落選している。
そもそも年譜の中で、 公募展に落選した事項にここまでスペースが割かれる作家っているのでしょうか。通常は記載しないような気も。
むしろ、公募に連続で落ちるようなところが、 この作家の特色だということなのか。70年代の展示などではどう紹介していたのか気になりますね。
ただ今回の展示では、中村忠二の画業を俯瞰する中で、落選することも一つのきっかけとして捉えているのだと思う。
働きつつ、日々の生活をしながらのサークル活動や権威がある公募展へ挑戦。水彩連盟などの団体展での活動も経て、60歳手前でそういった活動方向に一つの区切りをつける。
まず「心象風景にはいろうとする気持ち」になり、具象から非具象、抽象画傾向へと向かう。テクニックも洋画傾向・水彩から墨彩画・モノタイプへ向かう。
個に閉じていき、最終的な到達点として「詩画集」という形式に結実する。これがこの展示が打ち出す、この画家のおおまかな流れのようだ。ナルホド。*1
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この人は47歳の時に終戦を迎えている。その前後はもちろんマトモな活動はできていない。かろうじて公募展(国展)に出品しているだけだ。
辛い時期に、この人にとっては公募展が希望になっていたのかもしれないね。
*1:図録38p〜39p